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水木塁『凪に、傾く陽と。 』
2025年1月18日 (土)〜2月23日 (日)

オープニング レセプション:
2025年1月18日(土) 18:30〜


トークイベント:
2025年1月18日(土)19:30~21:00 水木塁×中尾拓哉(美術評論家/芸術学)
2025年2月23日(日)19:00~20:30 水木塁×梅津元(批評家/キュレーター)
 

定休日 水・木



CAVE-AYUMI GALLERYでは、2025年1月18日(土)より2月23日(日)まで、当ギャラリーでは初めての個展となる水木塁の展覧会『凪に、傾く陽と。』を開催いたします。
水木はこれまで都市と「わたしたち」の間にある環境的、文化的、政治的な関係をモチーフに制作を行ってきました。とりわけコロナ禍以降は、風景・情景・身体・モノの絡まり合いの中にあるウェルネスに注目し、多様なメディアを用いて作品を展開しています。

本展タイトルとなる新作作品「凪に、傾く陽と。」は2024年夏に水木が2ヶ月間ロンドンに滞在し、フィールドワークを行う中で撮影された風景写真を出発点としています。大都市の喧騒の中で、人々が自分の居場所を見つけ、周囲の環境をものともせずにくつろぐ姿や、思いがけない場所での束の間のリラックスした光景が捉えられています。彼らは物理的な環境や社会的なルールの中で柔軟に適応しながら、本能的に環境を読み取り、自らの居心地の良い空間を見いだしています。これらのイメージは、3枚1組のユニットとしてさまざまなコンポジションで展示室の壁や床に仮設的に展示されます。それは都市空間や人々の光景を映し出すだけではなく、写真、平面、立体といった既存の表現方法を解体・再構築する水木の手法によって、変容をし続ける現代の都市環境を象徴的に実体化しているかのようです。
さらに本展では、これまで水木が継続して行なってきた京都でのフィールドワークをもとに制作された作品も併せて展示いたします。本作の一部は写真修復家の三木麻里氏によって手彩色が行われています。ぜひご高覧ください。

「コロナ禍以降、改めて「環境」という概念に興味を持っています。それまで抱いていた「自分の意思によって事や物を選び取って生きている」という感覚がコロナ禍によって簡単にひっくり返されたことにショックを受けたことを今でもよく覚えています。ある社会環境の中では、自らの意思とは無関係に終わりを迎える事や変化を余儀なくされる事がそこかしこに存在している、そういった経験はもちろんこれまでにもたくさんしてきましたが、当時はそこに何か特別な強さを感じました。奇しくもフィールドワークの中で「ひと所に留まらないもの」を対象にし始めた時期とも重なっていますが、例えばそれは人気のなくなった歩道に突如現れた雑草の姿に心を打たれたことも影響しているかもしれません。 本展の出品作品では移民やバックパッカー、鳶、アカメガシワといった対象をモチーフにしています。それらは、アイデンティティ、相反性、合理性、公共性、境界、侵犯、自然、移ろい等のメタファーであると共に、経済的にも文化的にも代謝を行う現代都市と他者/他種との絡み合いにある動的平衡のアナロジーとも私は考えています。」 水木塁

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水木 塁(Rui Mizuki)
1983 年生まれ。京都市立芸術大学美術学部工芸科漆工専攻卒業、同大学美術研究科メディア・アート領域博士号取得。東アジア特有の思想である山水をテーマに、現代の芸術と社会について考えるコレクティブ「山水東京」のメンバーとしても活動。近年の展覧会に「UrbanNesting:再び都市に棲む」(BankART Life7、神奈川、2024)、「アーバン山水」(kudan house、東京、2024)、「若者のすべて」(半兵衛麸五条ビル 2F、京都、2023)、「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」(東京都写真美術館、2022)、「ON―ものと身体、接点から」(清須市はるひ美術館、愛知、 2022)、「constellation #02」(rin art association、群馬、2021)、個展「東下り」(WAITINGROOM、東京、2019)、個展「鏡と穴-彫刻と写真の界面 vol.3 水木塁」(gallery αM、東京、2017)など。2024年文化庁新進芸術家海外研修制度にてロンドンに滞在。

HP