中村 太一・野沢 裕・山根 一晃
「N/N/Yと納屋の幽霊たち」
2019年6月29日(土) - 7月28日(日)
オープニングレセプション:6月28日(金)  18:00 - 20:00



CAVE - AYUMI GALLERYでは、2019年6月29日(土)より7月28日(日)まで中村太一、野沢裕、山根一晃による3人展「N/N/Yと納屋の幽霊たち」を開催致します。今回の展示では、各々の作品を盗用、改変、再構築して制作する作品に加え、印画紙に直接ものを置き、カメラやフィルムを用いず、その像や影を感光させるフォトグラムの作品を共同で制作し発表します。初の試みとなる3名での共同制作にぜひご期待ください。

中村太一、野沢裕、山根一晃は様々な段階と局面において、同じ時間と空間を共にしたことがあります。それは「同砲」とも「同時代人」とも言うことが出来、共時的な時間における単一的な世界内において意識や認識に至る判断を共有していることを意味しています。 けれど、この同一の時間と空間の中にそれらを引き裂く異時性と異所性が混在しているとしたら、その時空に内包する全ての事物は脱局所化と再局所化、脱領土化と再領土化の絶え間ない再編の嵐の中で、同一性と非同一性の間を揺れ動くことになります。こうした事態にあっては「同胞」や「同時代人」といった同時的で同所的な在りようはおろか、各々の個別的主体性にいたっても同定することが出来なくなってしまいます。「私は私である」はずの私はここに至って、幾重にも重なり、私のうちに異なる私を知ることになります。そして識別不可能な流動帯の中で個のフレームワークを霊体として行き来することで、彼らは他者の視点によって彼ら自身を発見し、自らの存在が生と死の間で揺れ動く霊的な存在であることに気づきます。
今回の試みでは、個人の独立的な主体性は他の二人によって剽窃され、内在化され、新たに表象されうるでしょう。そしてまた、彼らは彼ら自身の虚ろな影として幽霊的に作品の上を漂うことになります。

中村 太一 Taichi Nakamura
1982年神奈川県生まれ。2008 年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業。キャンバスに油彩、あるいは紙に水彩で描く具象作品、雑誌の切り抜きの上にアクリル絵具や油絵具で自由にストロークを加えたミクストメディアの作品など様々な制作を行う。いずれの作品でもシンボルやメタファーが用いられ、一貫して、自然の摂理を逸脱することで進歩してきた人間に対する複雑な思いをメッセージに込めている。近年の主な展覧会に2019年グループ展「Castlemaine Festival 2019」(The mill、カスルメーン、オーストラリア)、2018 年個展「project N 73」(東京オペラシティアートギャラリー、東京)、個展「odd number」(HARMAS GALLERY、東京)、2017年個展「Under the sky of nowhere」(CAVE-AYUMI GALLERY、東京)、2016年グループ展「富士の山ビエンナーレ 2016」(イケダビル、静岡)など。
作家 HP : https://sites.google.com/a/taichi-painting.jp/nakamura-taichi/

野沢 裕 Yutaka Nozawa
1983年静岡県生まれ。東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を経て、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。2014年IEDデザイン大学マドリード校にてMFA(写真)取得。写真やビデオインスタレーションを通し、あたりまえに通り過ぎてしまうような情景に、少しだけ手を加えることで独特の風景をユーモラスに演出する野沢の作品は、いつかどこかでみた記録の断片が、長い道のりをへて再び立ちあがり、時の進行を惑わすミニマルな空間を生み出す。近年の主な展覧会に、2019年個展「Land Landscape」(TMMT、東京)、2017 年個展「≠」(KAYOKOYUKI、東京)、2015年個展「L」(UTRECHT、東 京)、2014 年個展「→■←」(Intercambiador ACART、マドリード、スペイン)、2014年 グループ展「“Triunfo y poesía...” International Exhibition of experimental Video」 (Galería Santa fe- La Decanatura、コロンビア)、2013年グループ展「むすびじゅつ」(静岡県立美術館、静岡)など。
作家 HP : http://yutakanozawa.com/

山根 一晃 Kazuaki Yamane
1982年広島県生まれ。アーティスト、プロジェクト・スペース「statements」ディレクター。2010年東京造形大学大学院造形研究科造形専攻美術研究領域修了。2014年相模原 地域で活動するアーティストから成る団体、「Super Open Studio NETWORK」設立に携 わる。2016 年プロジェクト・スペース「statements」設立。制度批判的なコンセプチュア リズムの精神を受け継ぎ、アイロニカルにアートの制度や歴史といった問題について思考 している。近年では「存在」についても思考が及び、ヒトとモノが社会との関係の中でどのように存在し得るのかについて、制作を通して考えている。近年の主な展覧会に 2019年個展「パースペクティブ / 結節点 / 行為あるいは作用として」(CAPSULE /SUNDAY 、東京)、2018年グループ展「helen at the mountain」(てつおのガレージ、日光)、2017年グループ展「ファミリー/コンセプチュアル」(Art Center Ongoing、東京)。2016 年に 複数のアーティストが企画、運営を行う「囚われ脱獄、囚われ脱獄」(CAPSULE、東京) に参加。2015 年グループ展「現代地方譚 3 - アーティスト・イン・レジデンス須崎 -」(すさきまちかどギャラリー、高知)、個展「after "the riverrun the”」(XYZ collective、東京) など。
作家 HP : http://yamanekazuaki.com/


協力:KAYOKOYUKI